おちゃめに100歳!寂聴さん。
瀬戸内寂聴 1922(大正11年)5月15日生 95歳。
京都府嵯峨野在住。 天台宗 権大僧正。
1963 夏の終わり 女流文学賞。 1988 寂聴 般若心経 でベストセラー。
1992 花に問え 谷崎潤一郎賞。 源氏物語の現代日本語文法訳。
年譜を見ても数々の業績。 著書も数知れず。
瀬尾まなほ 1988年2月22日生。 29歳。兵庫県出身。京都外国語大学英米語学専攻。大学卒業と同時に寂庵に就職。
「若草プロジェクト」理事。
朝、新聞の小説の新刊を紹介している本の中で、寂聴さんと美しい女性が親しげに写真に納まっている
一冊に目が留まりました。
これは、読まなくてはいけないと早速本屋へ・・と思っても昨今、本屋が町から消滅していて、イトーヨーカドーの本屋に電話で尋ねると直ぐに取り寄せると返事が。
待ち遠しく待つこと5日間。
篠山紀信が撮ったという表紙に二人がにこやかに笑うショットが印象的です。
25mmほどある厚みで、第一印象で、お・・・結構しっかりした内容なんだな・・・何と言っても寂聴さんの
秘書だから、彼女のお墨付きなはず・・・・なんて期待に胸を膨らませて、そろりと進入。
寂聴さんの住まいの寂庵でのエピソードが紹介されていて、まなほさんがここに勤めるようになった経緯。
それから7年になる間に起きた数々の寂聴さんの大病に、2人して乗り越えた信頼関係、固い絆が書かれていたり、寂聴さんのお茶目な面や二人の笑いをそそる言動が何とも微笑ましくて、私をほっこりさせてくれ、
何があっても、私が寂聴先生を守りきるというまなほさんの強い愛情には深く感銘しました。
まなほさんは寂聴さんを生きた化石と言っていて・・・谷崎潤一郎、三島由紀夫、川端康成、松本清張、遠藤周作といった名だたる名作家達との交流をあげています。
そして、70歳で源氏物語を訳し始めて6年をかけて訳しあげたことを紹介しています。
私は、大分前に、田辺聖子の「新源氏物語」を読んでいまして、源氏物語はもういいかな~~なんて思っています。寂聴さん、すみません。ぺこり。
二人が共に過ごす日常で、まなほさんのパン食の影響を受けて、おいしい、おいしいとそれを食べる寂聴さん。
料理が苦手な、まなほさんが料理教室で学んだ料理を、本音を隠しておいしい、おいしいと食べながら、陰でまずいと言っている寂聴さんに頭にくるまなほさん。
まなほさんが細かく刻んだり、巧く隠して調理したにんじんを器用に探し出し皿の横に避ける子供じみた寂聴さんとそれをしかる、まなほさん。
お菓子を食べなかったのが、まなほさんの影響でお菓子好きになった寂聴さん。
外食で、まなほさんが注文した自分とは違う料理を、そっちのほうが美味しそうと食べたそうに言う寂聴さん。
私が驚いたのが、寂聴さんがお肉を食べないと書けない・・・・という部類のお肉好きなことです。
あのお年で作品を書き続けるバイタリティーの源がお肉なのかと、魚中心の私との違いを考えさせられました。
92歳の時、脊椎の圧迫骨折。
また、この時に発見された、胆嚢腫瘍の手術などを全身麻酔で乗り越え。
94歳の時の法話の後、閉塞性動脈硬化症になり、足、心臓のカテーテル手術。
手術を嫌がる寂聴さんを根気良く、自発的に承諾する様に誘導するまなほさん。
そんな、紆余曲折の毎日で、女性らしいお洒落や恋愛の話に仏教の話と、寂聴さん大好きな私の興味を十分に満足させてくれた一冊になっていました。
本の中で、仏教の言葉を紹介していまして・・・・
「忘己利他」もうこりた。自分の幸せをおき、人様のために尽くすこと。
この言葉を私なりに「書」にしたためてみました。
最後に、まなほさんと、寂聴さんの幸せな毎日が、なが~~く続きますようにお祈りいたしています。
ほっこりのお裾分けを、ありがとうございました。
玉倉神仏具店 店主 石榑幸太郎 2018.1.16