オヤジの神輿。
潮田神社の祭り。6月4~5日は・・・潮田神社の例大祭(祭り)です。
鶴見の潮田地区は、戦後、埋め立てられた土地に、他県から移って来た人が住み着いた地域なのです。
隣接している京浜工業地帯の工場や、その関連町工場に勤める人々、そして、それらの人々を相手にした商店が多かったのです。
今はその経済活動も大分変わってきていますが、下町気質的要素は戦後67年になる今でも残っています。
鶴見区は、多文化共生を区政の主要な柱としていて、中国、韓国、朝鮮、ブラジル、フィリピン、ペルーの順に多く、区民の30人に1人が多国籍の人達なのです。
もともと、沖縄県民も多く町に根付いていて、最近はタイ人も見かけます。
私は、早歩き運動をしていて、町で多くの、これら外国人とすれ違うのは当たり前で、そばにも沢山の外国人達が住み、逞しく生活しています。
そんな、外国人を受け入れ、人種の坩堝となっていますが、それぞれを尊重しあいながら皆、生活しています。
毎年6月の第一土曜日と日曜日・・、そんな多国籍、34町内会を束ねるシンボルとして存在感が増すのが・・・潮田神社の祭りなのです。
格町内会は祭りには町民が協力しあって、神輿、山車は素より、町内会主催の夜店などの企画を催す準備に余念がありません。
一年で一番、町が熱気を帯びて活気立つ日なのです。
勿論、多国籍の人々も多く参加し、祭り行事を担っています。
祭りの日、離れて住んでいる友達、兄弟や親戚が集まってきたりします。さて、玉倉神仏具店の本店・工場の在る浜町1丁目の自治会の大人神輿は、私の父で玉倉神仏具店の2代目、宗一が製作した逸品です。
箱台輪の前後左右の4面に施された彫刻は守護神の龍。
鳥居の柱にも登り龍と降り龍の彫。
胴をしっかり囲っている、囲垣。
屋根の下の桝組みは神輿の動きをがっちりと受け止めます。
屋根の四方に伸びる蕨手は真鍮の龍。
先端部に凛々しい鳳凰。
上質の欅材を使い、この上に張ってある金具は全て真鍮製で本金メッキを施す。
神輿全体が、数年前の再生修理を経て、再び美しさが蘇っています。
宗一は製作にあたり、自分の町内会の仕事で、何年も残るものだと言って、大幅に赤字を出して仕上げたものなのです。
それから数十年が経ち、我が家に、幼児が三人と童子が一人居て、この宗一の子孫達と宗一の神輿が対面する祭りでもあるのです。
日が落ち、神輿に提燈を装備し、明かりを被った神輿が、我が家である工場・本店前に差し掛かった時、居合わせた我が家の子供達と嫁達、手伝いに来ていた宗一の娘は、宗一に声援を送っている様に、はしゃいで歓声を上げていました。
外に出て来た、宗一の妻で老いた私の母の千枝子も両側を家族に支えられながら、神輿に声援を送っていました。
この時、私はこの光景をカメラに捉えていましたが、ファインダー越しに宗一の誇らしげな気持ちが伝わって来て、そして、私も、そんな父親を誇らしく思ったのです。
2016.6.5