店主の創作オブジェ。 2023.6.25
店主の創作オブジェ。 2023.6.25
このオブジェは凡そ20年前に作製したもので、当店の旧工房のウインドー内に陳列していたのですが東日本大震災の時に棚から落下して縦長のものは枝の真ん中で折れてしまったのを補修したものです。
材料は堅木の紫檀材で、親しい職人が持ってきてくれたものです。
この2個の紫檀材を眺めていて・・・俵屋宗達の風神雷神図屛風に描かれている風神と雷神をイメージして、この作品へのオマージュのつもりでアイディアを考えました。
横長の材は雷神が強い雨で大木の枝葉を下に激しく押し付けているイメージ。
縦長の材は風神が強い風で大木を横にしなわせて枝葉をちぎれんばかりに、なびかせているイメージ。
このイメージが出来上がったあと、得意の木工ミシンで下書きもせずに一気に糸鋸に紫檀材を当てていきました。
この紫檀材は硬いし、厚みもあるので、糸鋸は熱を帯びて紫檀材を焦がし・・青い煙を出し・・焦げた臭いをまき散らしながら進んで何度も折れてしまって、そのたびに糸鋸を変えたのです。
頭の中に広がるイメージを早く具現化しようと気持ちがはやり、どうしても糸鋸が紫檀材を切っていく速度より紫檀材を糸鋸に押し付ける力が強くなり、細い糸鋸は熱くなり折れがちになってしまうのです。この作品はパーツをスライドさせる事で、数通りに表情を変えることができます。倉庫内で行方不明になっていたこのオブジェが見付かり、皆様にも見て頂こうと思いブログにしたためました。