初代　石榑竹治郎　　2022.5.1

当店の初代　石榑竹治郎　（昭和31年9月8日没　行年69歳）の写真が見つかった。
彼は木具竹の屋号で、かなり大掛かりに事業展開していて、当時、伊勢佐木町に有った横浜松坂屋デパートが顧客であったり、彼の弟子や孫弟子から商い上手と聞いていた。
横浜商工会議所から提供を受けた昭和12年発行のこの資料内で、当時彼が電話を使っていた事からも繫盛していたらしいと想像できる。
この年代では電話は高級品で、一般的には使われていなかった。

私の彼の記憶は、私がまだ８歳までで終わっていて、ほんの数回だけしか会った事がなかった。
鶴見の我が家に来た時、銀製の取手が付いた杖を使っていた事や、物静かで優しい人だったと記憶している。
顔は薄っすらだが覚えている。
最後に会ったのは、彼が亡くなり、六角橋の彼の家で布団に寝ている彼の死に水を取る日だった。
末期（まつご）の水ともいうこの行為はガーゼを水に浸して彼の唇を拭く事なのだか、幼い私は死者と体面したことが初めてで怖くて逃げ回った事は良く覚えている。

竹治郎は私や弟の晴行が宮師の仕事を二代目宗一から引き継ぐ事を想像していただろうか。

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