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    2017.7.2カテゴリー: 店主のブログ

    一休園。  2017.7.2

    弘法筆を選ばず・・・・・書聖として有名な弘法大師こと空海(774~835)の書に対しての伝承。
    彼が残した天台宗の開祖の最澄に出した手紙、風信帖は彼の最高傑作といわれていて、私も臨書したことがありますが、数年前、国立博物館で、その本物を目の前にした時、手本にしていた風信帖は拡大されていて、実際に目の当りにした書は、手紙なので小さな文字にも係わらず、生き生きとした存在感で空海の意識が、命が凡そ1100年の歳月を経ても鮮明に蘇ってそこに宿っていて鳥肌が立ってしまいました。
    本当に素晴らしかったです。
    以前に、司馬遼太郎の(空海の風景)という本を読んでいて、彼の人並み外れた偉業を汲み取っていただけに、
    尚更、私の心に響いた本物の風信帖でした。

    凡そ30年前、書の師匠や同門の先輩方は、当時の私の筆に対しての認識や考え方・・・弘法筆を選ばず・・・技術があればどんな筆でも良い書が書ける・・・良い線が描けると思っていた事を真っ向から覆した事を言う方々ばりでした。
    安い筆を何本も持っていても駄目だ。
    値段が高いが良い筆は、色々な線質表現が出来るが、安い筆はその毛質から生まれる線は単調なものでしかないと言うのです。

    そして、意を決して、師匠に頼んで購入したのが、熊野筆のメーカー、一休園の羊毛長鋒筆で、此れが後に数本買い足すことになった、一休園の筆との最初の出会いでした。
    中国の江南地方の山羊の毛で、穂が長い長鋒の羊毛筆は、柔らかくて使いこなす為には用筆法の基礎が出来ていないとどうにもならないのです。
    しかし、それをマスターした上で生まれる線質は変化に富んでいて、偶然に生まれる変わった線も多発し、
    饒舌な、表現ができるのです。

    工業製品、車や家電はスペックが表記されていて、購入時の参考になりますが、筆を前にして、10万円です、と言われてその価値の値踏みをする事って、経験を積み上げないとなかなか出来ません。

    信頼している師匠の推薦が、一休園だったのです。

    そんな中の1本の一休園の筆が軸から穂が外れてしまったのです。
    自分でボンドで修復しようかと思いましたが、なにせ、値段が高い筆なので、一休園に電話で尋ねたら、送れば
    無料で直してくれるというので、早速、送り出しました。

    大変に気に入っている筆なので、完全復活が待ち遠しいです。

    一休園の宣伝みたな文章になりましたが、当店もお宮、神具を製造販売していて、一休園に通じる製造メーカー
    精神を感じるのです。


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